ファイナンス・情報系クラスターセミナーを下記のように開催いたします。
報告テーマにご関心のある方は、奮ってご参加ください。
日時：2011年11月17日(木)16：30～17：30
場所：大会議室（名古屋市立大学滝子キャンパス3号館1階）
講師：中岡英隆（首都大学東京戦略研究センター教授
兼大学院社会科学研究科教授）
演題：企業の経営価値創造力とM&A戦略
概要：
企業の価値創造力がそのマネジメントの質や能力に大きく依存することは広く知られており，このマネジメントが生み出す知識資産付加価値を経営評価の基準として位置づける代表的な指標がTobin’s q ratioである．中岡［2011］では，不確実性下のキャッシュフローとマネジメント能力を確率変数としてモデル化し，オプション理論に基づいて導出される企業の市場価値をベースとして qレシオを定義することにより，マーケット・ベースでの企業の経営価値創造力の評価とM&Aによる統合効果についての考察を行っている．また，リアルオプションには原資産価値とボラティリティの観測が難しいという問題が存在するため，実ビジネスにおいて事業のERM評価を行うことが容易ではない．これらの問題に対しては，Merton (1974)の構造型モデルに対するアルゴリズムを適用することにより，負債を織り込んだ企業の市場価値という文脈における新規事業のERM評価や，qレシオによる企業の価値創造力の評価，M&Aに対する市場の評価についての考察と実証的な分析が可能である．さらに，日本経済新聞社の総合企業ランキング「NICES」で高く評価されたトップ10の企業を対象に，qレシオおよび負債のリスクプレミアムを測定し，NICESの評価と実際の企業の経営価値創造力との関連および東日本大震災による企業価値への影響を検証する．